ジェイソン・フリード デイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソン
早川書房
売り上げランキング: 179
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すでにあちこちでレビューされているこの本ですが、これはリモート勤務歴2年4ヶ月の自分にとって必読の書(?)であり、ましてや以前はRuby on Railsのお世話になっていましたので、頑張って感想文を書いてみたいと思いますw
これはリモート勤務の本ではない
っていうか、いやいや、そんな事はなく、37signalsが自ら実践してきたリモート勤務について、とても歯切れよく、わかりやすく書かれた良著です。これからリモート勤務を導入したいと思っている個人や組織にとって、大変に説得力のある文章がたくさん詰まっていますので、読むべき一冊だと思います。もし、自分がクラウド移住をする時にこの本があれば、どんなに助かった事だろうな、と正直思います(笑)。この本に書いてある事、多かれ少なかれ、自分が通ってきた道が書いてあって、「あー、間違ってなかったー。やっぱそうだよねーw」的な思いで一気読みしました。ただ、読み終えた自分の第一印象は、「これは(究極には)リモート勤務の本ではない」という事でした。
この本にも書いてある通り、仕事の質を上げ、かつ、個人の満足度もアップさせるための「手段」としてのリモート勤務は、すでに充分に出来る環境にあります。ただし、リモート勤務をする事が目的ではありません。目的と手段をはき違えてはいけません。
強いチームであるには
この本では、散々「コミニュケーション」について触れられています。一人で全てをやっている訳ではありませんから、当たり前なんですけど、リモート勤務の場合はむしろそれを意識的にやる必要があります。これは自分の実感から来るものでもあり、とても賛同出来るものです。ただ、これは、リモート勤務当事者だけの問題ではなく、一緒のチームで働いているオフィス勤務の人間にも言える事、というのが、意外に解りにくい部分でもあります。例えば・・よくあるのがSkypeなどのWeb会議で話す時に、顔を映さない人。これが非常にやりにくいです。向こうはこっちの顔が映っているから別になんとも思わないのだろうけれども、これでは普通に電話で話した方が数倍マシです。ただ、こういった事は自分がリモート勤務を始めた頃にはあまり無かった事であり、何でなんだろうと考えてみましたが・・おそらく自分は本社にいない、という事に、本社側がすっかり慣れてしまった結果なんだと思います。
ほんと、しょーもない事なんだけれども、そのような事が積み重なってくると、だんだんコミュニケーションを取る事自体が「ストレス」になってきてしまう。それでは全く意味がありません。でも、よくよく考えてみると、じゃぁ常にオフィスにいれば、そこは大丈夫なのか?という疑問が沸々とわき上がってきます・・
皆さんの所でも、近くの人に伝えるべき要件をメールで済ましたりしていませんか?それで良い場合も多々ありますけど、内容によっては「メール送っておいたから後で見てね」くらい声をかけるのではないでしょうか?「メール送っておいた」というのが「相手に伝えた証拠」的な感じになってしまうと、そこから美しきすれ違いが発生致しますww
ただし、あくまで個人のコミニュケーションに対する考え方に寄る部分も大きいので、一概には言えない部分もあるでしょう。その点、四六時中オフィスに一緒にいて、同じ空気を吸っていれば「空気を読む」事によって知らず知らずに伝播させる事もある程度可能かもしれませんね・・ 実際、自分が出勤していた頃は、そこは無意識に感じ取れていた部分かもしれません。でも、空気はネットを超えられないので、長くリモート勤務をやっていると、その点が浮き彫りになってきます。そして、そこがどうしてもうまく行かないのであれば、リモート勤務自体、不可能なのかもしれません。
けれども、それって本当にチームでしょうか?
原著のタイトルは「REMOTE -Office Not Required-」ですが、邦題は「強いチームはオフィスを捨てる」です。このタイトルをつけた人はスゴいと思います。まさしくそういった事を色々と考えさせられる、素晴らしい一冊です。
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