MyCSS

2014/10/01

一ヶ月後の近況報告など はてなブックマークに追加

十勝牧場の白樺並木
早いもので、ファームノートにジョインしてから一ヶ月が経ちました。長年いた印刷業界を離れ、酪農畜産クラウドな世界に足を踏み入れましたが、そこは全てが未知の世界。さらに新しい職場で、帯広に単身赴任、っていうか、そもそも会社に出勤する生活が3年ぶりなわけで(笑)そりゃぁもう刺激的な毎日です。

・・なんていう状況ですが、いくつかお知らせがありますのでエントリを起こしたいと思いますw

サムライとしてアスキーさんに取材されました!
先日、サムライのコスプレ付き取材記事(笑)が掲載されました!(掲載は9月17日でした。遅くてすみません(汗))

取材していただいたアスキーさんには、以前エンジニアサポートCROSS 2013に登壇した際にも記事にしていただいた事があります。

今回はわざわざ札幌の自宅までお越しいただき取材していただきました。本当にありがとうございました!ちなみに撮影場所は近所に借りている畑です(笑)。黒い衣装で暑かったですww


「AWS Cloud Roadshow 2014 札幌」に登壇します!
10月30日に札幌プリンスホテルで開催される「AWS Cloud Roadshow 2014 札幌」に、ファームノートとして弊社代表の小林と共に登壇させていただく事となりました!

しかも、ADSJ長崎社長の基調講演後のスペシャルセッション枠です。長年AWSを使ってきて、こんな光栄な事はありません!・・ちなみにこういう大きなイベントは2010年のQCon Tokyo以来でしょうか(笑)あのときはユーザーグループ枠のセッションでしたが、TwitterやFacebookのエンジニアやMatzさん、デザインパターンを作ったGoFの中の人(その日はアイルランド火山噴火の影響で来日できませんでしたが)などの錚々たるメンバーの中に入り交じって「SQS最高〜!」と喋ってたのは、今となってはよい思い出ですww

ファームノートのアーキテクチャは、まだまだ発展途上ですが、スタートアップでありながら、いわゆるクラウドサービスを提供したい、という場合に、そのインフラの選択肢としてAWSの利用は自然な流れとなります。その辺りのお話ができれば良いかな?と考えています。

ちなみにこのイベントですが、AWSのソリューションアーキテクトの方をはじめ、多数の「なかの人」が来札されます。このような機会は札幌ではなかなか無いですし、直接お話しできるのはとても有意義です。そういう意味で開発者はもちろんですが、開発者じゃなくても、このイベントに参加する意味はある と思います。さらに、イベントの一番最後の枠は、AWSユーザーグループの交流会になってます。その中で優勝商品が「Kindle」という、太っ腹な「AWSウルトラクイズ」もありますので、ぜひ最後まで参加しましょう!
Developers Festa Sapporo 2014
AWS Cloud Roadshow 2014 札幌の翌日、10月31日は、Developers Festa Sapporo 2014も開催されます。こちらも幅広い講師陣ですので、開発者は必見です!

というわけで、10月の最後の2日間は予定をあけておきましょうーw

2014/09/01

株式会社ファームノートにジョインします はてなブックマークに追加

前回の退職エントリに引き続きのご報告です。次の事は報告せずに、ただ「退職します」というだけで沢山の反応をいただきました。大変恐縮ですし、身の引き締まる思いがします。ありがとうございます。

・・で、次は何をやるのか?ひょっとしてあそこの会社じゃないの?などとよく言われましたが(汗)おそらく想像を絶する業界に転職します。

次は、一次産業です。ずばり、酪農をやります!


・・・といっても、乳搾りをやる訳ではありません。株式会社ファームノートにジョインして、酪農畜産とITをくっつける仕事、キャッチーな言い方をすれば、「酪農畜産クラウド」にチャレンジすることになりました。

http://farmnote.jp

株式会社ファームノートは、酪農・畜産業界向けに特化したスマートフォンアプリ「Farmnote」の開発を行うITベンチャーです。設立されてまだ一年経っておらず、まさしく産まれたてホヤホヤな企業です。場所は北海道の十勝地方の中核都市、帯広市になります。どんなプロダクトを作っているのか、ぜひサイトをご覧ください。


なぜファームノートなのか?
私のプロフィールには、かなり前から「目指せ半農半IT」と書いてあります。これは北海道に移住する前から書いていたものです。また、生まれ故郷である北海道に貢献できるような仕事がしたい、という思いも常にありました。しかし、それらは何か具体的な計画があるわけでもなく、ただ漠然とそういう思いを持ち続けていただけでした。

ところが・・思い続けてどこかに書いておくと、そういう転機が訪れるものです。たまたまネットの記事でファームノートの存在を知り、これはもしかしたら自分がやるべき事かも、と直感しました。すると、これまた不思議な事に創業者の小林氏と直接会う機会がすぐに訪れまして・・・あぁ、これは完全に呼ばれてるな、と(笑)

私自身の生い立ちとして、酪農そのものに直接的な縁がある訳ではありません。しかし、よくよく考えてみたら元実家の近くに小さな牧場がありました。小さい頃から何となく見ていたので、当たり前すぎて気がつきませんでした(笑)記事の最初に張っている「サイロ」の写真、これがその牧場です。当時の自分の部屋からは牧草地が見えていて、ちょうど今くらいの時期だとロールが転がっている牧草地が、夕日に照らされて金色に光って見えていたものです。北海道だから牧場なんて普通じゃない?と思われるかもしれませんが、札幌では相当なレアケースなんですよ。

さらに・・この「サイロ」の写真は、ほぼ3年前に、我が家が北海道へ「クラウド移住」します、と宣言したブログ記事に使ったものでもあります。
もちろん、その記事を書いた当時は、北海道に行って酪農畜産に関わる事をやるんだ、なんて事は全く頭にありませんでした。まったくの偶然なのですが・・これも運命でしょうかね(笑)


それから・・「転職」を考える中でとてもおおきな問題は、もちろん家庭にあります。北海道に来るときもそうでしたが、妻には大変おおきなサポートをもらっています。今回のチャレンジもすぐさま理解をしてくれて、背中を押してくれました。大変にありがたい陰の功労者であります。この場でも改めて感謝の意を表したいと思います。ほんとうにいつもありがとう。


これからの予定
本日から早速帯広に滞在して開発の現場に突入します。世界に例のないプロダクトを作ろうとしているアツい人たちの中に混ぜてもらいます。ひとまず自分の役割はバックエンド側のエンジニアとして開発に携わる事ですが、ある程度仕事が回るようになって落ち着いてきたら札幌に戻ってくる予定になっています。つまり、今までと同様に、引き続きリモート勤務となります。これは、傍目から見たら今まで通り自宅でのPC作業にしか見えないので、転職したようには見えないかもしれません(笑)

もちろん、システムの運用はAWSを利用します。また、ファームノートの関連会社でもある株式会社スカイアークでもAWS関連の技術支援を業務として行います。ですから、引き続きAWSのユーザーグループであるJAWS-UGには顔を出しますので、どうぞ今後ともよろしくお願いします。ただ、今までは「印刷」の話ばかりしていましたが、今後は「牛」になりますので、そのあたりもどうぞよろしくお願いいたしますww

前職もそうでしたけど、今回もミッションも未開拓な地に分け入っていく仕事になります。そんな開拓民の仲間に入れる事は楽しみであると同時に、とても気合いが入ります。

というわけで、今後とも引き続きよろしくお願い申し上げます!

2014/08/26

欧文印刷株式会社を退職します はてなブックマークに追加

表題の通り、今月をもって欧文印刷株式会社を退職することになりました。勤続約13年半です。最後の仕事は、先週行われたAWS主催のイベント、「AWS ジャパンツアー 2014年 夏」での事例発表となります。



印刷会社が「独自開発」をする意味
印刷業界に長年いて、もっとも感じた事、それは「ピンチはチャンス」という事です。印刷業界そのものは大変厳しい状況にあります。従来の印刷需要そのものがどんどん無くなっていく現実があり、基本的に今までの事をそのままやっているだけでは衰退するだけです。この現実に対してどう乗り越えていくべきか。自分が所属していた欧文印刷は「自力で独自開発」を行う、という方針を打ち立てました。世の中に存在していなかった新しいモノやサービスを作りあげ、新しい市場を切り開いていく、というものです。そして、それはある程度、結果に出すことができました。

例えば、おかげさまで大変ご好評を頂いている商品「nu board(ヌーボード)」がその代表です。

印刷工場の担当者が、ルーチンワークとして「機械を回す」ということで終わっていれば、このような「紙をホワイトボードにする技術」なんて絶対に生まれていません。どれだけ安く、早く機械を回すか?という考え方は、製造業的には基本的な考えでありますが、そこだけに注力して体力勝負になってしまうのは得策ではありません。なぜなら、基本的に需要そのものが減っているので、必然的に価格競争に陥るからです。

しかし、現実問題「言うは易く行うは難し」というのも事実ではあります。そもそも「独自開発」というものは、すぐに効果があるものでもないですし、ましてや開発に失敗するかもしれません。しかし、欧文印刷はそこに価値を見いだして、現場のエンジニア(アナログもデジタルも)をサポートしてくれる会社です。そういう中で仕事をさせてもらった事は大変恵まれていました。自分自身、エンジニアとして成長をさせてもらった事に、大変深く感謝をしています。

印刷とWeb
私は印刷会社の中のソフトウェアエンジニアとして、いろんな事を手がけて参りました。そこを語りだすといつまでも終わらないのでやめておきますが(笑)やはり欧文印刷での仕事の中で、最も自分を成長させてくれたのが、ブログ製本サービス「MyBooks.jp」に携わった事です。このサービスの立ち上げから成長まで、当事者として8年間関われたことは、大変貴重な経験でした。ある意味、自分の子供みたいな気持ちです(笑)


本当に何もない所から、ただ「ブログは本になるんじゃないか?」という発想で始めたこのサービス、まさか国内の主要なブログと提携させていただき、かつサービス自体が8年も続くとは、当時は全く想像もしませんでした。これもサービスを使っていただいているお客様のおかげです。本当にありがとうございます。MyBooks.jpは、もちろん今後も継続的に発展して行きますので、乞うご期待です。

たかだか「ブログを製本する」と一口に言っても、本当に沢山の事が「前例のないケース」で、全てが手探りの状態でした。ブログデータをPDFに変換する組版エンジンの開発、写真などの収集、最適化技術といったものは当然として、Seasar2やRuby on Rails、Flexなど、その時代にあったWebフレームワークを積極利用したり、途中から「Amazonクラウド(AWS)」を利用して、一番のネックだった「サーバーインフラ」の問題を一挙に解決できるようになったパラダイムシフトを経験したり・・とにかく様々な経験をさせてもらいました。




しかし、MyBooks.jpは「製本サービス」です。つまり、印刷して製本して配送する、という製造の行程があります。私はシステムの担当であるので直接はタッチしておらず、これまであまり表立って話もしてこなかった事ですが、こちらも全てが初めての事でしたので、本当に大変だったと思います。そもそも当時は業界の常識として「本を一冊だけ印刷製本するなんてのはあり得ない話」でありました。ましてやB2Cサービスですから、受注数の変動も激しいので、そこをいかにして回していくべきか、今までの「常識」を全て覆さなければ到底なし得ない事をやってのけました。欧文印刷のオンデマンド製造部門は相当すごいですよ。ここまで一点一様のものを毎日大量に生産している印刷会社は無いと思います。

リモート勤務というワークスタイル
そして、やはり言及しなければならない事は、リモート勤務を認めていただいた事です。考えてみたらこれも「前例のないケース」ですから、欧文印刷がそもそも持っている風土にあっていたのかもしれませんね(笑)

リモート勤務開始は2011年の11月ですので、もうすぐ3年経ちます。その中で、MyBooks.jpのシステムリニューアルや、mixiさんとの連携によるサービスのヒット、なんて言う事がありました。どれも大変思い出深い出来事です。

リモート勤務の事に関してですが、ここにきて少しずつ認知度が上がってきたなぁ、という感じがします。実際にイベント等でお会いした方に「話を聞いてこういうワークスタイルを知った」と言われる事もありますし、中には実際に行動に移されてリモート勤務をやってます、という方もいらっしゃいました。これは個人的にもとても嬉しい事ですし、いろんなところでお話をしてきてよかったなぁ、と思うところであります。

特に思い出深いのは、2013年初頭の「エンジニアサポートCROSS 2013」と、同年10月の「北海道の楽しい100人」に登壇したことです。前者はASCII.jpさんに記事にしていただいて結構な反響をいただきましたし、その後IT系に限らず、様々なイベントや勉強会、メディアの取材等をいただいたきっかけとなりました。後者は、クラウド移住してきて2年が経過したタイミングでのお声がけで、個人的にそれまでを振り返る良い機会になりましたし、自分の今後の役割的なことは何なのだろう?ということを考えだしたキッカケにもなりました。

会社員がリモート勤務をする、もっと拡大解釈をすると、場所に縛られない働き方をする、という事は、ワークスタイルの選択肢として今後も増えていくでしょうし、実際にそうなっていけば幸せになる人たちも大勢いると思っています。私もそのような人たちが一人でも増えるように、微力ながら応援していきたいな、と考えております。実はこの記事も、札幌市南区豊滝にある農場の一角を「コワーキングスペース」としてお借りして、パソコンを持ち込んで書いているものです(笑)

いいね!農style
そもそもこの試みは農場のご好意で場所をお借りできた、というのと、果たしてアウトドアで仕事ができるのか?という実験でもありました。もしかしたら世界初の試みかもしれませんが(笑)夏の暑さも通り過ぎた札幌で、自然の中で湧き水飲みながらお仕事、っていう世界が成り立つのか?といわれると、いくつかの前提条件が必要だけれども成り立つな、というのが結論です。まぁ、これは極端な例ですけれど、それほどたくさんの人に声をかけた訳でもないのに、結果9名も集まってしまったというのは、いったいどういうことなのでしょうかw
わかりにくいですが、みなさんお仕事中ですw


さいごに
13年半勤めた会社を辞める、というのは、やはりそれなりに大きな決断でした。しかし、これから自分が社会に対して果たして行くべき役割をもう一度考え直したときに、ここはやはりジョブチェンジをするタイミングだ、という結論に至りました。次はどうするのか、それはまた後日報告いたしたいと思います。これまで仕事上お世話になった皆々様、この場を借りて、あらためて感謝申し上げます。本当にどうもありがとうございました!!

2014/04/17

AWS Elastic BeanstalkはImmutable Infrastructureそのものじゃないか はてなブックマークに追加

ちょっと遅くなってしまいましたが、第13回 JAWS-UG札幌 勉強会で発表してきましたので、ご報告いたします。なお、今回でこのシリーズは完結いたします(笑)



ちなみに先月の JAWS DAYS 2014 では、Immutable Infrastructureのトラックが常に超満員でして、通路にまで人が溢れおりました。また、東京方面ではImmutable Infrastructure Conferenceが開催される位、ちょっとしたイミュータブル祭りになっているようです(笑)しかし、その中であまりAWS Elastic Beanstalkについて話題が出てこない気がしたので、今回あえて発表させてもらいました。

まだサーバーにSSHでログインしてるのかい?

AWS Elastic Beanstalkは、まさしくBlue Green Deploymentをするためのサービスですし、そもそもEC2起動時にkey pair指定をしなくても良い=サーバーにログインしなくてもいいんじゃね?という事実が、イミュータブルっぷりを発揮しております。
※ちなみにスライドにもある通り、個人的にはkey pairを指定していますw でも個別のサーバーにSSHでログインする機会は滅多にありません。

Elastic Beanstalkがリリースされた2010年当時は、このkey pair指定をしなくても良い、という意味が全く分かりませんでした。当時はconfigで環境を自動構成する機能(公式ドキュメント)もなく、カスタムAMIをあらかじめ準備する必要がありました。しかし、カスタムAMIを作るという事は、そのAMI自体を管理して行かなければならない、という別のタスクが発生します。例えば、先日のHeartbleed Bugのような重大なセキュリティの問題が発生した場合、そのソフトウェアを最新版に更新した上で、再度AMIに保存し直す、といった作業が発生します。管理すべきものを増やしたくないのに、これでは本末転倒です。Chefなどのプロビジョニングツールも良いのですが、そこまで大げさじゃないんだよなぁ、という場合、このconfigがちょうど良い感じなんです。

ちなみにconfigではスクリプトも実行出来ちゃいます。ということは、要するに何でも出来るのですが(笑)configでは書ききれずにスクリプトを書いてしまう場合は、無理してElastic Beanstalkを使わずに、別のソリューションを使った方が良いと思います。(【参考】EC2 インスタンス上のソフトウェアのカスタマイズ

インフラの構成管理をある意味強制される

基本的にconfigはアプリケーションのソースコードの中に入ります。具体的には
$APP_ROOT/.ebextensions/*.config
という場所に入りますので、基本はgitやsvnなどのソースコード管理システムの中に一緒に放り込まれるでしょう。そうすると、インフラの構成もバージョン管理されてしまうという・・ まさにDevOpsな世界が自動的に出来上がりますw AWSはこの点を意識しているのかどうか・・よく解りませんけども、個人的には良く出来ているなぁ、と思います。

運用のベストプラクティス?

Amazonの長年の経験で培ってきたものがAWSにあるとすれば、まさしくサイト運用のベストプラクティスが詰まったものがElastic Beanstalkなんじゃないか?と思います。他のサービスに比べれば地味でパッとしないかもしれませんけども(笑)使いどころを間違えなければ、Elastic Beanstalkは初期学習コストも異様に低いですし、サイトの運用負荷を劇的に下げられる強力なサービスだと思います。

2014/02/13

リモート勤務は手段であり目的ではない〜「強いチームはオフィスを捨てる」を読んで はてなブックマークに追加

読書感想文シリーズ、その2です(笑)

強いチームはオフィスを捨てる: 37シグナルズが考える「働き方革命」
ジェイソン・フリード デイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソン
早川書房
売り上げランキング: 179

すでにあちこちでレビューされているこの本ですが、これはリモート勤務歴2年4ヶ月の自分にとって必読の書(?)であり、ましてや以前はRuby on Railsのお世話になっていましたので、頑張って感想文を書いてみたいと思いますw

これはリモート勤務の本ではない

っていうか、いやいや、そんな事はなく、37signalsが自ら実践してきたリモート勤務について、とても歯切れよく、わかりやすく書かれた良著です。これからリモート勤務を導入したいと思っている個人や組織にとって、大変に説得力のある文章がたくさん詰まっていますので、読むべき一冊だと思います。もし、自分がクラウド移住をする時にこの本があれば、どんなに助かった事だろうな、と正直思います(笑)。この本に書いてある事、多かれ少なかれ、自分が通ってきた道が書いてあって、「あー、間違ってなかったー。やっぱそうだよねーw」的な思いで一気読みしました。

ただ、読み終えた自分の第一印象は、「これは(究極には)リモート勤務の本ではない」という事でした。

この本にも書いてある通り、仕事の質を上げ、かつ、個人の満足度もアップさせるための「手段」としてのリモート勤務は、すでに充分に出来る環境にあります。ただし、リモート勤務をする事が目的ではありません。目的と手段をはき違えてはいけません。

強いチームであるには

この本では、散々「コミニュケーション」について触れられています。一人で全てをやっている訳ではありませんから、当たり前なんですけど、リモート勤務の場合はむしろそれを意識的にやる必要があります。これは自分の実感から来るものでもあり、とても賛同出来るものです。ただ、これは、リモート勤務当事者だけの問題ではなく、一緒のチームで働いているオフィス勤務の人間にも言える事、というのが、意外に解りにくい部分でもあります。

例えば・・よくあるのがSkypeなどのWeb会議で話す時に、顔を映さない人。これが非常にやりにくいです。向こうはこっちの顔が映っているから別になんとも思わないのだろうけれども、これでは普通に電話で話した方が数倍マシです。ただ、こういった事は自分がリモート勤務を始めた頃にはあまり無かった事であり、何でなんだろうと考えてみましたが・・おそらく自分は本社にいない、という事に、本社側がすっかり慣れてしまった結果なんだと思います。

ほんと、しょーもない事なんだけれども、そのような事が積み重なってくると、だんだんコミュニケーションを取る事自体が「ストレス」になってきてしまう。それでは全く意味がありません。でも、よくよく考えてみると、じゃぁ常にオフィスにいれば、そこは大丈夫なのか?という疑問が沸々とわき上がってきます・・

皆さんの所でも、近くの人に伝えるべき要件をメールで済ましたりしていませんか?それで良い場合も多々ありますけど、内容によっては「メール送っておいたから後で見てね」くらい声をかけるのではないでしょうか?「メール送っておいた」というのが「相手に伝えた証拠」的な感じになってしまうと、そこから美しきすれ違いが発生致しますww

ただし、あくまで個人のコミニュケーションに対する考え方に寄る部分も大きいので、一概には言えない部分もあるでしょう。その点、四六時中オフィスに一緒にいて、同じ空気を吸っていれば「空気を読む」事によって知らず知らずに伝播させる事もある程度可能かもしれませんね・・ 実際、自分が出勤していた頃は、そこは無意識に感じ取れていた部分かもしれません。でも、空気はネットを超えられないので、長くリモート勤務をやっていると、その点が浮き彫りになってきます。そして、そこがどうしてもうまく行かないのであれば、リモート勤務自体、不可能なのかもしれません。


けれども、それって本当にチームでしょうか?


原著のタイトルは「REMOTE -Office Not Required-」ですが、邦題は「強いチームはオフィスを捨てる」です。このタイトルをつけた人はスゴいと思います。まさしくそういった事を色々と考えさせられる、素晴らしい一冊です。

2014/01/08

リモート勤務に付加価値を付ける〜「起業家のように企業で働く」を読んで はてなブックマークに追加

年末年始の読書課題(笑)として、こちらの本を読んでおりました。

起業家のように企業で働く
小杉 俊哉
クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
売り上げランキング: 445

自分自身、東京の会社に勤めながら札幌で一人リモート勤務をしていますが、すでに2年が経過し、少しずつ考え方が変わってきた様な気がしています。その辺を少し整理したくて、この本を手に取りました。


リモート勤務に付加価値を付けたい
仕事は東京のメンバーと一緒にやっておりますが、支店がある訳でもない札幌で仕事をしている事に、もう少し付加価値を付けられないかという考えが湧いてきました。まぁ、端的に言うと「営業」ですね(笑)

私自身、職業はWeb系のエンジニアであり、本業の印刷に直接関連する仕事は殆どやっておりません。ただ、印刷に関する知識は少々ありますし(昔DTPエキスパートなんて持っていましたw)プリプレスの現場は経験しているので概ね解ります。本格的な見積もりなどは本社の営業がやってくれますので、要はお客さんの話を直に聞いて、ざっくり感触を掴み、それを本社に投げる、という役割です。
そもそも紙への印刷は自分自身の本業じゃないので、ある程度お客さん目線で見る事が出来ます。ですので、コスト的に厳しければ、昨今はネットを使った印刷通販がたくさんありますので、はっきりそちらをオススメする事もあります。これは客観的に見てもその方が良い場合もあるからです。結局価格競争だけをやっても消耗するだけですからね・・。


企業はプラットフォームだ
おかげさまで最近ようやく「あいつは印刷屋だ」という認識が広まりましたので(笑)お声掛け頂く事が少しずつ増えてまいりました。東京時代には殆どなかったことですが、札幌に来てから「付加価値」について考えるようになり、それなりに振る舞ってきた結果なのかなぁ、と思います。もちろん、本当の営業さんのようには立ち振る舞えませんが、常にPCのにらめっこして一日を過ごすよりはよっぽど健康的ですし、印刷会社所属のエンジニアだからこそ出来ることだと思います。まさに企業を自分のために利用して、でもそれが結果的に企業のためになる(なるといいですね(笑))、という事でしょうか。

ただ・・こういう事が出来るようになってきたのも、おそらくこの本に書いてあった事を知らず知らずのうちに実践していたからかなぁ・・という事に気がつきました。目次から拾ってみると・・
言われた事をやるだけで終わらない〜人と同じこと、今までと同じことをやっていたら、要らない人材になってしまう(25ページ)
これは自分の性格になものかもしれませんが・・言われたことは従いたくない的なww まぁ、冗談はさておき、弊社の場合はそもそも受託仕事が殆どないので、サービスを考える所から始まります。ですから、トップダウンで来るお題は「新サービスを作れ」であって「○×システムを作れ」ではありません。だから自然とそういう考えになって行ったのかなぁ・・と思います。良いのか悪いのかよく解りませんけどw
社内外のネットワークを作る〜社内外のリソースを上手く活用(104ページ)
昔は「印刷屋のdeveloper日記」というブログを書いておりました。このブログで技術的なことをちょこちょこ書いていたのがキッカケで、とある勉強会に誘われ常連になったのが「業界外」の人達と会うキッカケになりました。そもそもIT業界に居ないのにも関わらず、IT系のイベントや勉強会に参加して、たまに発表する度に「アウェイな感じ」をもっておりましたけど、それも最初のうちだけでしばらくすると慣れました。SI屋さん、インフラ屋さん、Web屋さん・・様々な「異業種」の人達の話を聞いて行くうちに、自分の立ち位置と取組んでいる仕事について考えざるを得ませんでした。また、とんでもなくレベルの高い会話もあれば、その程度なのか(失礼しました!)というものもあり・・要は外に出ないと解らないことがたくさんあるし、むしろ外に出て行くことで得られたものを社内にフィードバックしていく事でより自分のためになる、という事だと思います。
難易度の高い仕事を引き受ける〜リスクを取る(129ページ)
これこそ企業に属しているから出来る事だと思います。例えば新規システムを作る時、社内の開発体制を提案して自ら整えて使ってもらうとか、全く新しいフレームワークを導入するとか、クラウドにシステムを全部移行させちゃうとか・・。こういうことは当然大変な事ですし、基本的に「未知の世界」なので、失敗する可能性も大きいです。しかし、仮に失敗したとしても対外的にはそれは会社の失敗であり、せいぜい怒られて自分の評価が下がるだけです。そこを恐れるよりも、トライする事で自分の糧になる方がよっぽど大きいものになると思います。もちろん、そう言う事を受け入れてくれる風土をもつ組織じゃないと難しいですが・・。ちなみに私自身、あまり失敗したことがありません。これは自慢でも何でもなくて理由があります。難易度が高ければ高い程、失敗したときのリカバリープランも考えた上で用意周到に計画するからです。そういうオプションプランも会社のリソースを使えるので用意しやすいのではないでしょうか?
常に市場価値を意識する〜他社、別業界の人をライバルにする(160ページ)
非IT業界でITの仕事をする、というのは、ある意味常に緊張感を覚えながらやってきた様な気がします。若い頃は特にそうでした。自分のスキルは果たしてIT業界の人から見たらどう評価されるのか?という事を常に意識しながら仕事をしていました。ですから、ひたすら勉強しましたし、それを実戦で使ってノウハウを積み上げてきました。結果はどうなのか・・? 今ひとつ自分自身を客観的に評価出来ないのですが、少なくともエンジニアとして、今はサーバーだけでなく、自らを仮想化して東京から札幌にクラウド移住する所まで来ました(ここ笑う所です)。ただし、これらは技術を追い求めるだけではだめで、「以前はこうだったから」という所をぶち壊す所から始めないと物事が動きません。そこに説得力を持たせる戦略としては、ある程度社外からの「評価」を頂いて、それを会社に突きつけると言う手段があります。出る杭は打たれるのは宿命です。ですが、出過ぎた杭は、もはや打つ事すら出来ない、というのがこの世の常でありますww
表現力〜言えば良いというものではない(182ページ)
エンジニア同士の会話であれば、仕様書でやり取りするよりも、コードで会話した方が早いですよね(?)。ただ、それは世間一般には通じません。業界用語、専門用語はもってのほかで、文字すらダメです(笑)この辺は非IT業界にいるおかげで、ITの専門的なことを社内に説明する際にどうやってそこを伝えるべきか、かなり訓練された様な気がします。伝えるべき相手によって、絵を描いたり、例え話をしたり、キャッチフレーズを作ったり・・みなさんも、おじいちゃんおばあちゃんにインターネットの事を説明してみると、かなり訓練されると思いますw
この本全体を通して訴えている事、会社員であるならば、企業と言うプラットフォームをどんどん活用するべき、というのは、個人的にもとても同意出来ますし、今後はそうあるべきだと思います。働き方を考える上で、一つヒントを与えてくれる良い本だと思います。