今年で何回目の参加になるだろう?フル参加は難しいとしても、あのポジティブな雰囲気が楽しくて、何かと都合を付けて毎年行っています。
今年はなんと言っても個人的にデブサミ史上最強最高のセッション、「建築から開発プロセスを学ぶ~パタンランゲージ」から得られるものがすごく大きかった。得られたというより、なにかヒントとなるような言葉をバシバシ浴びせられて、でも消化不良なんだけど、思ったり考えた事を少しずつ自分のものにしていって、外にも出して行こうみたいな、そんな感じです・・って、すでに文章がおかしいですが、とにかく何かを猛烈に浴びせられました(笑)
当日メモが取れないくらい心に沁み入ったので、
を参考に思い出しつつ、このエントリーを書きました。感謝です!!
「IT」とひとまとめにしちゃうと、いろんな要素が関わってきて複雑になるので、「ソフトウェア」に絞って思った事を書きます。デブサミもソフトウェア開発者の集まりだし。
建築とソフトウェア
建築って、人類が家を造るようになってからの壮大な歴史があるのに対し、ソフトウェア開発はたかだか何十年だから、そもそも比べるのもおこがましいような気もします。また一方で、実際の手で触れられるものを扱う建築と、触れられない抽象的なソフトウェアとでは問題の本質が違うと思います。でも、最終的に人の暮らしの為に必要不可欠なものを作っていくという点では建築もITも同じだし、建築からアーキテクチャという言葉を貰ってきた以上、本質的に通じるものはなんなんだろう?と、以前からぼんやり考えていました。
セッション中の中埜先生の言葉で
全部の要素を満たす住宅を作ったが、機能的でいいんだけど心がないという事は、身の回りの小さなレベルでよく経験する事だと思います。でも、そういう部分ってプロダクトデザインやソフトウェアユーザビリティーの分野で盛んに問題として取り上げられている部分だと思いますし、それなりに成果が出ているのではないか?とも思います。
でも、建築ってプロダクトそのものが人間の感性を刺激する役割があります。その場にいるだけでなんか気持ち良いと感じたり、雰囲気が開放的だから人のコミュニケーションが円滑になったり、その逆もあったりなど、建築の機能的な役割を果たす事は当然として、その先の人間に対する影響を考慮して「設計」するという部分にまで到達しています。もちろん専門的な事は全く知らないし、いまだに「パターン、Wiki、XP 」ですら未読な自分ですから、ド素人の意見です。でも、素直にそう感じてしまいます。
そういった、言葉にしづらいし、100人いれば100通りの意見が出てくる感性的な部分に対してどうやって折り合いを付けていくのか?それって、今まさにソフトウェア開発が直面している問題だし、その部分が上手く行っていると歴史的にコンセンサスがとれているソフトウェアってあるのかな?と率直に考えました。
ソーシャルアーキテクト?
前日の「アーキテクチャに憧れろ - 『ソフトウェアアーキテクトが知るべき97のこと』著者パネルディスカッション」というセッションでも出てきましたが、「ソーシャルアーキテクト」的な人材はまだ存在しないという事。中埜先生も様々な意見を取りまとめるコーディネーターが足りないとおっしゃっておりました。そういった流れを作るためにも、道具としてのパターンランゲージがもっと必要なのか?それ以前の問題なのか?アジャイル開発が現実的な解なのか?とか、考えれば考えるほど訳が分からなくなってきますね(苦笑)。小津安二郎の映画で家族でおだやかに朝食を食べているシーンは、日本以外でも素直に心地よいと感じる事が出来る。そういった人類共通の感覚みたいなものはまさにソフトウェアに必要です。また、子供も年寄りも男も女も、年齢性別分け隔てなく使われていくソフトウェアは、今後の社会的責任の度合いが増していくでしょう。
「0」と「1」しか知らない馬鹿正直な「箱」に「ソースコード」を通して日々命を吹き込むソフトウェア開発者の人たちは、そういう重要な仕事をしているのだと自覚して、同時に胸を張るべきだと思います。
ソフトウェアアーキテクチャは建築アーキテクチャに比べてどうなのかとか、そういう比較論ではなくて、良い所でヒントになりそうな部分は取り入れるとか、手法を応用するなど、もっと相互のやり取りが出来るようになれば良いのかな?なんて思ってみたり。
自分の中でさっぱりまとまらないうちにエントリーを起こしてしまいました。でも、何かを書かずに入られませんでした。
私の父が建築業界で働いていた影響があるかもしれません。
祖父は大工でした。なにか血が騒いだのか!?という気がします。
いずれにしても、このようなセッションがデブサミで行われた事はちょっとした事件なんじゃないかと思います。セッション後の拍手の大きさが何よりもそれを物語っていたのではないでしょうか・・。